Vol.1 必要な道具

 屋外でお人形の写真を撮るときに、いろいろ気がついたことをまとめてみました。vol.1では、必要な道具について紹介します。


■カメラ

 昔ながらのフィルムカメラでも、普及したデジタルカメラでも、できれば1眼レフやレンジファインダーとかの、ピントあわせをファインダーでキッチリ確認しながら撮れるものが良いですね。

 普通は想定してないようなものすごく近い距離で撮影することになるから、ピントが合いづらかったり、狙ってない所に合ってしまったりします。ところが小さな液晶画面だけのデジカメだと晴れた青空の下など明るいところでは見づらくて、後で見直したらピンボケだった・・・になりがちです。ですからファインダーを備えて、ピント合わせができる機種がふさわしいです。そういった機種であれば(お人形だけを撮ろうとした場合)安い機種で十分です。高性能カメラが持っているような機能は、お人形撮影の場合ほとんど使いませんから。1眼レフの下位機種の中古だったら1万円ぐらいからあるみたい。

 カメラ本体の選定は後記のレンズと関係してきます。特に中古で購入する場合には、レンズがたくさん出回っている機種を選ぶのが無難でしょう。

 私が使っているのは、まあお人形撮影用というよりカメラそのものの趣味という具合で、かなり古いものです。

カメラ本体−1オリンパス OM−1 OLYMPUS OM1
レンズズイコー50mmマクロ F3.5
ズイコー28mm広角 F2.8
ズイコー50mm F1.4
タムロン50〜200mmズーム
 オリンパスのOM−1という40年程昔のカメラです。中古で 購入しオーバーホールしたもので、骨董品の部類に入りつつある古いカメラですがちゃんと写ります(普段の家族旅行などでも使っています)。これのいいところは完全機械式なので電池が無くても写せるところと、ショックアブソーバーが内蔵されて いてシャッター衝撃が静かなところですね。

カメラ本体−2マミヤ645 1000s Mamiya645 1000s
レンズセコールマクロC80mm F1.9
セコールC45mm広角 F2.8
 普通の人は買わないと思いますが、マミヤオーピー(カメラ製造からは撤退しています)の1976年の製品です。 中版という大き目のフィルムを使うカメラで、使うフィルムは普通の35mmフィルムの倍ほどの面積があるのでそれだけ繊細な写真が撮れます。


 普及型のコンパクトなデジタルカメラを選ぶなら、炎天下でも液晶画面が見やすい、セルフタイマーやリモコンなど本体に触れずにシャッターが切れる、マクロ撮影機能がある、を基準にすると良いと思います。

■レンズ

 ある意味、カメラ本体より重要かも。レンズはまあいろいろあるに越したことは 無いけれど、(35mmフィルムカメラの場合)焦点距離50mm付近のものがあればとりあえずはOK。欲を言えば 28mmとかで景色を入れて風景写真ふうに撮影し、50mmなどで上半身のアップを撮影します。 ちなみにこのサイトの写真はほとんどが28mm広角で撮られています。

 モデルさんの写真集とかでぐいっと迫ったような写真を見かけますよね?お人形でこういった場面 を撮影したいなら「マクロレンズ」というものがあると便利です。花や昆虫の写真撮影などでよく 使われます。一般的に、最短撮影距離(どれだけ被写体に近寄ってピントが合うか?)も短い ものが多いです。

 レンズの選定基準として「焦点距離(○○mmとかで記載。長いほど倍率が大きいが暗くなる)」 「明るさ(F○○で記載。値が小さいほど明るく写る)」などがあるけれど、お人形のような 小さなものを撮影する場合には上記に加え、前述の「最短撮影距離」が重要です。かなり近寄って 撮影することになるからです。新品レンズならカタログに書いてあるけど、中古レンズの場合は 調べないとわかんないです。店員も全部はしらないと思いますから、カメラを持っていって、実際に 装着してみてチェックするのが良いでしょう。 このあたりの選定やテクニックはカメラ雑誌等の「花の写真」の特集を読んでみると参考になります。

■ストロボ/フラッシュ

 ほとんど使いません。スタジオのような場所でカメラと別にスタンドに立てて使うのならともかく、 カメラに据え付けて使う場合には近すぎてしまうし、なんとも白々しい、如何にも樹脂でできてますっ!、 っていう硬い感じの写真になっちゃうからです。布とかをかぶせて弱くすることもできるけど、 そうすると背景(例えば部屋の中など)に光が届かなくなってしまう上に、お人形の「影」が大きく 写ってしまいます。

 但し、夜景と共に撮影するときに少し工夫した方法でストロボを使います。詳しくはVol.3「応用編」で説明します。

■フィルム

 これは好きずきがあるから一概には言えないけど、昼間屋外で撮影するならASA100の もので十分。一般的に、感度の低いフィルムほど粒子が細かく鮮明な写真が撮れるもの。ただし暗く なっちゃうから、シャッター速度を遅くする必要があって、手ブレなどは起きやすくなりますね。 三脚と併用すると良いと思います。現在普及しているのはASA400が多くて、ASA100の フィルムはカメラ店以外では、観光地の土産店などで売れ残りがたまに売ってたりする程度ですが、いちど試してみてください。 腕が上がったように感じるほどキレイな写真が撮れますよ。

 まあ撮影条件をしっかり設定できて、シャッタースピードを遅くすることを覚悟だったら、 ポジフィルム(またはリバーサルフィルム:スライドに使える、白黒反転しないフィルム)のほうが 特に暗い部分などでよりきれいな色彩表現ができますから、使う価値があると思います。 よく晴れた日の木陰など明暗がクッキリするような所ではリバーサルフィルムが威力を発揮します。

 以下によくみかける3つのメーカーについての勝手な所感を書いてみます。

コダック

 全般的にやや黄色い写真になりますが、バランスは良いと思い、私が好んで使う メーカーです。よく使うのは「RoyalGOLD」か「Portra」です。「GOLD」はできあがりが妙に黄色 くNG。全般的にやや黄色っぽいので、蛍光灯の元で使うのは避けたほうが良いです。蛍光灯の元では ただでさえ黄緑色の写真になってしまうので。

コニカ

 サクラカラーと言ったほうがピンとくるひとも多いかもしれませんね。やや赤みがかった柔らかい 写真になりますが、これは「ママ撮って」などに代表されるように、子供の肌をやわらかく表現することに 注力する戦略だと思われます。一般的に雲の日は青みがかった写真になりますから、それを相殺 するのにいいと思います。また、花の写真などにもよさそうですね。

富士写真フィルム

 やや青く、硬い写真が撮れます。これは「日本人は青みがかった白色を好む」というマーケット戦略 だと思われます。一般的によく晴れた日は赤い写真が撮れてしまうので、それを 相殺するのに良いです。私は富士写の「RealaACE」を好んで使います。

 などなど書いたけど、コンビニとかだとたいてい富士写のフィルムしか売っていないので、 往々にして同社の「SUPERIA400」とかを使わざるをえないケースが多いんですけれど。

■割り箸、φ3mm程のアルミ針金など

 これはお人形を「立たせる」のに使用します。私は初期には割り箸を用いていましたが、現在はホームセンターで売っている太めのアルミ針金を用いています。脚を曲げてもそこに上手く隠れるように曲げることができるのと、90度に曲げて地面に置くとか、金具に固定して三脚に固定するなど使い道が広がるためです。

地面に自立させる

 基本的な使い方。アルミ針金を20cmほどの長さに用意して、お人形の腰に挿して地面に挿して自立させます。土とか、雪とかだと概ねこの方法です。


固い地面の場合

 アスファルトや石には挿さらないので、針金を折り曲げて恐竜のしっぽのようにして立たせます。このとき後ろに伸びた針金が写真に写りこまないように向きを調整します。

 例えばこの写真では実はお人形の背後に針金が2本あり、片方は靴の付近から90度後ろに曲がっていて、もう片方は腿のあたりから斜めに後ろに伸びていますが針金の影が右足の影に重なるようにしてカモフラージュし、2本使うことで風で倒れないようにしています。


■三脚

 これはカメラを固定するのではなく、お人形を固定するためにまず必要です。というのも、 例えば地面に直接置いたら目線がとても低くなってしまい如何にも人形という感じになってしまい ますし、場合によっては周囲の雑草などに景色が隠れちゃうからです。とはいうものの、 人間の目線の高さまで持ち上げるとこんどは下半身などが角度が不自然になります。 したがって1m程度の高さで撮影するのがよく、三脚もこの程度の高さまで伸ばせるものが良いです。

 三脚にもいろいろありますが、カメラと違ってシャッターを押したりなど衝撃がかかるわけでは ありませんので、携帯用のもので十分です。

 これとは別に、マクロレンズで接近した写真を撮る場合や、夕暮れ時や夜間、屋内などで撮影する 場合にはカメラ固定用の三脚が必要になります。例えば私の場合は、お人形を立たせるための携帯用の 三脚と、カメラを固定するための大き目の三脚を両方持ち歩いています。

 一脚はお人形撮影ではあまり使いません。お人形自身を固定するなどいろいろと小細工をするわけですから、一脚の「機動性」はあまり重要ではないからです。

三脚用のスタンド

三脚用のスタンド

 お人形の目線を人間っぽくリアル高さにしたうえで自立させたい場合は三脚の上に立たせたいので、ホームセンターで 買ってきた金具に針金を取り付けたものを、三脚の雲台に取り付けて使っています。

雲台の拡大

 先ず針金の金具への取り付けですが、手元にあった何かの余りのボルトに針金を巻きつけ、たまたま合う蝶ナットで締めつけて、付け替えができるようにしています。 これを三脚の雲台に取り付けるのですが、カメラ用のネジは1/4インチネジといって近所ではなかなか売っていません。仕方なく、写真用品店で止めネジを買ってきて取りつけます。

針金のカーブ

 ところでお人形を自立させる針金には、微妙にカーブをつけてあります。これはジェニーの腰から下の曲線に合わせてあり、上手く脚の後ろに隠れるようにするためです。

■テープ類

マスキングテープ

 お人形の脚と針金などを固定するのに使います。本来は塗装するときに塗り分けるために使う紙製のテープで、模型店やホームセンターで売っています。他のテープに比べ剥がしやすいのが特徴です。

クラフトテープ

 針金などと、それを支えるもの(地面のアスファルトなど)を固定するのに使います。セロハンテープは薄くて剥がしづらいですし、ビニールテープは粘着力低く使いづらいので、クラフトテープが使いやすいようです。このくらい粘着力があると、たとえば汚れたアスファルトの地面を「捨てテープ」で2〜3度ペタペタして汚れを取り除いただけでくっつけることができます。 もちろん、テープを貼った跡は残さずキレイに清掃しなければなりません。

両面テープ

 めったに使いませんが、何の補助もなしにドールを立たせる場合や、風が強いときに手すりに座らせる時などに使います。


■レフ板

 モデルさんの撮影で大きな反射板を使ってモデルさんを照らしたり、写真屋さんでの撮影で傘のようなものにストロボの光を反射させていることがありますね。 この反射板を「レフ板」と言います。 お人形などモデルさんを撮るときに影になる部分を反射板で照らして影を打ち消すことで、全体として柔らかい印象にすることができます(詳細は「Vol.2」を読んでください)。

レフ板

 私は初期はボール紙にアルミ箔と白紙を貼りつけたものを使っていましたが、さすがに使い勝手が悪いので、写真店で、いちばん小さな丸レフ板(¥1000ぐらい)を買ってきて使っています。 折りたたむとポケットに入るサイズになり便利です。

■レリーズ

レリーズ

 カメラを三脚に取り付けレフ板も使って撮影するとき、カメラをしっかり持てませんから手でブレやすくなります。これを防ぐために、リモートでシャッターを切る レリーズを使います。

 ところで普及型のコンパクトデジカメではレリーズを取り付ける機構がありません。赤外線のリモコンでもあれば良いのですが、それも無ければ、セルフタイマー で撮影すると良いでしょう。


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