その4:♪幸福ゆきを2枚ください


 朝起きたらどうしようもない大雨。隣で朝食の支度をしてた、昨日1棟譲ってくれたご家族に礼を告げて出発・・が、道東は「だだっ広い」風景がいいところなので、雨ではどうしようもないです。しかたなく釧路のフィッシャーマンズワーフだとかジャスコだとかwに立ち寄ったりしてうだうだする。

 昼頃になり天気もぎりぎり回復。愛国駅と幸福駅へ向かう。


 昔、国鉄広尾線という汽車が走っていました。その中に「愛国」と「幸福」という駅があります。昭和40年代、国鉄のCM「ディスカバー・ジャパン」や、ジェリー藤尾の「遠くへ行きたい」などが流行し、汽車で旅する若者が増えました。彼らの間でブームになったのが、「愛国」駅から「幸福」までの切符を買って汽車に乗ることでした。「愛の国」から「幸福」行き、というわけです。

 とはいっても当時すでに切符は「愛国から○○円区間」という省略されたものでした。そこで国鉄がサービスの一環で昭和49年に「愛国から幸福ゆき」という切符を発売します。さらに同じ年、歌手の芹洋子が「愛の国から幸福へ」という歌を歌いこれが若者の間で大ヒット。「愛の国から幸福へ」が大ブームになります。愛国駅にいったん降り立ち、「幸福まで下さい」、もしくはアベックなら歌詞に倣って「幸福まで2枚ください」と。幸福駅で結婚式を挙げるカップルも居たほどです。

 広尾線は昭和62年に廃止。駅も廃止されましたが、自動車が普及したせいかここを訪れる観光客も(昔の大ブームほどではないにせよ)ずっと続いています。幸福行きの切符もなんと昔の「こくてつ」のマーク入りのまま、「国鉄委託販売場」の売店のおばちゃんが廃止後もずっと売っています。

37)愛国駅です。6年ぶりです。ここは中が資料館になっていて、当時の資料や道具類が展示されています。

 もちろん、幸福行きの切符も買いましたよ!ちゃんと2枚。1枚はキーホルダーに入れています。


38)こっちは幸福駅。昔訪れたときに比べ駅前の売店が増えて妙に賑やかになっていました。売店の呼び込みがうるさいのはなんか興冷めする感じです。あと、愛国→幸福の切符を幸福駅前の売店で売ってるのは絶対「変」だと思う。愛国駅で、駅前の国鉄委託販売員のおばちゃんから買うのが王道でしょう


39)というわけでこの切符はもちろん愛国駅で買ったもの。「こくてつ」のマーク入りなんですよ。


40)いつの頃からか「足跡を残すと幸福になれる」と言われ(札幌の友人から聞いた話)、名刺やメモや赤キップ(笑)が膨大な数貼りつけられています。私も昭和63年にメモを貼って行ったと記憶してるんですが・・・見たところ、古いものは風化するか腐るかして無くなってしまい、平成以前のものは見当たりませんでした。


41)外には線路が100mほどだけ残されていて、ディーゼルカー(キハ22)が2両、展示してあります。


 この後、帯広市内でコインランドリーを探して洗濯(^^; 祭りか何かだったらしく、威勢の良いおばちゃん軍団がやってきて法被(?)やらなにやら大量に洗濯していました。



 クルマを富良野に向け、駐車場で眠った次の日はまたまた雨。TVドラマ「北の国から」の足跡をたどることに。

「北の国から資料館」(閉館)を見学したあと、劇中で五郎が造った家々をまわる。それにしても「石の家」はリアルですね。今にも田中邦衛もとい黒板五郎が出てきそうです。しかも他の家やセットは近づいたり中に入ったりして見学できるのに、「石の家」だけは50mぐらい離れたところから見るだけです(2003年当時)。その理由が「五郎がひとりで住んでいます。プライベートを侵さないようにしてください。」というナイスなものでした。

 富良野の町ではスーパーマーケットでも「北の国から」の主題曲が流れ、まるで北の国からの舞台、というより、あっちが現実で、という感じがします。

42)黒板五郎が暮らしている石の家。2003年当時は近づけませんでした。続編撮影の計画があったのかもしれません。


 さて似たようなものとして(?)、夕張に「幸福の黄色いハンカチ」を訪ねました。昭和52年公開のこの映画、失恋した主人公(?)花田欽也(武田鉄也)は会社を辞め、クルマで北海道へ感傷に浸る旅に来ています。途中、似たような境遇の女の子小川朱実(桃井かおり)と出会い、また、刑務所を出所したばかりの中年男性、島勇作(高倉健)と出会います。

 勇作は服役中、妻光枝(倍賞千恵子)に「もしオレが帰っても待っていてくれるなら、庭に黄色いハンカチを出しておいてくれ」と手紙を書いています・・・・そんなところから話は始まります。自暴自棄になった若い男女と、過去過ちを犯した中年男性が互いに何かを得ていくというお話なのです。

 波乱万丈の旅(?)の末、最後の最後、ラストシーン。夕張炭坑は閉山され、夕張の町は変わり果てています。そんな中、炭坑職員用の木造アパートだけは変わらずそこにあります。果たして黄色いハンカチはあるでしょうか・・・・・で、期待を超える情景には感動します(ここではあえて書かないけどね )

43)そのアパートの前でスナップ。この奥に広場があって、そこでは今でも黄色いハンカチが風にはためいています。アパートの中はちょっとした博物館になっていて、「幸福の黄色いハンカチ」の小道具などが展示されています。あ、武田鉄也が乗ってたファミリアもそのまま展示されています。


44)いちばん奥のアパートには、勇作が帰ってきた直後のシーンが蝋人形で再現されています。それを知らず外から覗くと、ヒトが居るんでびっくりします(^^;


 北海道さいごの夜は、千歳の青葉公園でキャンプです。夜中、空を見ながらウイスキーをちびちび嗜んでいたところ、近くのタープから「ガッシャーン!」と大きな音とともに何かの動物が飛び出し走り去っていきました(w)。キャンプでは食べ残しや生ごみはきちんとしておきましょう。



前へ 写真集3にもどる 次へ